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■食の基本資料>細菌性食虫毒について

「細菌性食虫毒」は、細菌そのものの増殖や、細菌の作り出す毒素によって引き起こされています。「細菌性食中毒」は、食中毒の事例の大半を占めています。件数では80%強、患者数では99%近くにのぼります。
 また、以下に挙げる食中毒細菌による食虫毒で気をつけなければならないのは、食品の風味などに問題が無くても食虫毒が起こる点です。その他の菌などによる「腐敗」とは異なり、食虫毒細菌による汚染が進んでも、味や臭い、見た目などに変化が起こっていないことが多いのです。

 調理の際には、食中毒予防の三原則を守ることが大切です。

  1. 細菌をつけない
    調理の前には手や爪を洗う。調理器具は清潔に保つ。食材はラップできちんと包むなどして保管。
  2. 細菌を増やさない
    調理後は早めに食べきる。使わない食材はすぐに冷蔵庫へ。
  3. 細菌を殺す
    きちんと中まで加熱調理。調理器具などのこまめな殺菌。

 家庭などでの細菌性食中毒としては、以下のようなケースが多いでしょう。

  • 朝、傷のある手でおにぎりを作り、昼に食べて黄色ブドウ球菌による食中毒発生。
  • 肉を切ったのと同じまな板で、サラダ用の野菜を切って大腸菌による食中毒発生。
    または、肉を調理した包丁・まな板をフキンでふいて、同じフキンで野菜用の包丁をふいて大腸菌による食中毒発生。
  • 食卓に出しっぱなしになっていたお刺し身を食べて腸炎ビブリオによる食中毒発生。

 その他、調理以外の場面でも、いくつか注意すべきポイントがあります。キッチンやトイレのタオルなどは、少なくとも1日に1回は洗濯したての新しいものと取り替える必要があるでしょうし、ペットと遊んだ後は手洗いが必要です。

参考書籍:
「家庭で防げる食中毒」丸善
「これだけは知っておきたい食中毒・感染症の基礎知識」中央法規出版
「食中毒の科学―あなたを守る知識ワクチン」裳華房

■感染型食中毒 infection type poisoning

 食中毒細菌によって汚染された食品を食べることで発症する食中毒。食品中の菌数が発症菌数を超えることで起こる。

■サルモネラ菌

  • 原因食品は卵や肉、その加工品が多い。人間や動物の腸内に生息していることも多く、自然界に広く分布している。ネズミ、ハエ、ゴキブリなども保菌しているため、そこから食品が汚染されることもある。
  • 熱に弱い菌なので、加熱調理が有効。75℃1分以上の加熱で死滅。低温(10℃以下)では菌が増殖できないので、すぐに食べない食材は冷蔵庫などに入れて保存し、早めに食べ終える。
  • 潜伏期は12〜24時間。気分が悪くなったり、嘔吐・腹痛・下痢などがある。1週間以内には症状が回復する。

■腸炎ビブリオ

  • 原因食品は魚介類が多い。夏などの気温が高い時期に集中的に発生する。沿岸部の海水などから検出される海水細菌なので、魚介類が汚染されていることは多い。
  • 熱に弱い菌なので、サルモネラ菌同様、加熱調理が有効。65℃1分以上の加熱で死滅。食材を低温で管理し、菌を増やさないことも大切。魚介類とその他の食材(サラダなど)を調理する器具を分けるなどの対策が必要。
  • 潜伏期は10〜18時間。気分が悪くなったり、嘔吐・腹痛・下痢などがある。2〜3日で症状が回復する。

■病原大腸菌

  • 原因食品はサルモネラ菌同様、人間や動物の大便が多い。通常の大腸菌は腸内に常に住んでいる菌であるが、病原大腸菌・侵襲性大腸菌・毒素原性大腸菌の3種が食中毒の原因菌となる。
  • 熱に弱い菌なので、加熱調理が有効。食材を低温で管理し、菌を増やさないことも大切。井戸水などの生水にも注意が必要。
  • 潜伏期は10〜30時間。腹痛・下痢などの症状が出る。1週間以内には症状が回復する。

■O-157(腸管出血性大腸菌)

  • 病原大腸菌の一種。人から人に感染しやすく、菌数が少なくても症状が出る。
  • 熱に弱い。75℃1分以上の加熱で死滅。
  • 菌の産生する「ベロ毒素」により、腹痛・下痢・血便などの症状が出る。

■カンピロバクター

  • 動物の腸内に生息。鶏肉などが汚染されていることが多い。
  • 熱に弱い。70℃1分以上の加熱で死滅。

■毒素型食中毒 toxin type poisoning

 食中毒細菌が産生した毒素によって汚染された食品を食べることで発症する食中毒。食品中の細菌が毒素を作り、発症毒素量を超えることで起こる。

■黄色ブドウ球菌

  • 原因食品はおむすびや弁当などが多い。健康な人も鼻や咽頭、手指などに保菌していることが多い。傷などにも多くの菌がいるため、汚染源となりやすい。
  • 菌自体は加熱調理によって殺すことが出来るが、菌が産生した毒素「エンテロトキシン」は通常の加熱では破壊されない。このため、調理時・保存時の衛生管理が重要となる。
  • 潜伏期は1〜5時間。悪心・嘔吐や腹痛・下痢などの症状が出る。症状の発生が早く、回復も早いことが多い。

■ウェルシュ菌

  • 原因食品は肉や魚介類、その加工品などのタンパク質食品。人間や動物の腸内に常にいる菌であり、自然界にも広く分布している。
  • 菌は加熱調理によってある程度殺すことができるが、芽胞を形成して生き残るものもある。加熱後は早めに食べるか、菌が発育しないうちに冷却して保存する。嫌気性の菌なので、包装された商品でも衛生管理・温度管理はきちんと行うことが重要。
  • 潜伏期は6〜18時間。腹痛・下痢などの症状が出る。発熱は無い。1〜2日で症状が回復する。

■ボツリヌス菌

  • 原因食品は密封して発酵させた食品など。いずしや辛子れんこんなどでの発生事例があるが、件数は少ない。土壌、海・河川などに広く生息しており、汚染の機会は多い。
  • 毒素は80℃30分ほどのやや強めの加熱で破壊される。ボツリヌス菌は嫌気性の菌であるため、食品を密封して保存する場合も、十分な加熱と衛生管理、低温での保存が大切。食前の加熱調理も予防に有効。
  • 潜伏期は12〜36時間。脱力感、倦怠感、瞳孔拡大などの症状が出る。呼吸失調により死亡する場合がある。致死率3割ともいわれる。

■ウイルスによる食中毒

 細菌ではありませんが、食中毒の原因となるウイルスについての情報も掲載しておきます。一般にウイルスは熱に弱く、必ず加熱工程を経て製造されるカニカマ・蒲鉾類では問題が起きにくいでしょう。

■ノロウイルス(小型球形ウイルス(SRSV))

  • 以前は「小型球形ウイルス(SRSV:Small Round Structured Virus)」と呼ばれていた。国際ウイルス学会において分類上の名称が決められたことを受け、2003年8月の食品衛生法の改定でノロウイルスに変更。
  • ウイルスに汚染された二枚貝(カキ、アサリ等)での感染事例が多く、冬場の発生が多い。感染力も強いため、調理器具やトイレなどでの二次汚染には注意が必要。
  • 熱に弱いので、加熱調理が有効。85℃1分以上の加熱で死滅。
  • 潜伏期は24〜48時間。腹痛・下痢・発熱などが主な症状。通常は3日以内に回復。

■鳥インフルエンザ

  • 鳥に発生するインフルエンザ。 (便宜上この食中毒の項に掲載していますが、鳥インフルエンザウイルスが食中毒を起こした事例はありません)
  • 鳥インフルエンザウイルスに感染した鳥の飼育・検査に従事するなどした際に、ヒトへの感染が起こりやすいとされている。ほとんどの鳥インフルエンザウイルスはヒトには感染しないが、H5N1型などの高病原性ウイルスでは感染事例がある。
  • 熱に弱いので、加熱調理が有効。75℃1分以上の加熱で死滅。
  • H5N1型のヒトへの感染事例では、結膜炎・肺炎・多臓器不全などの症状が出ている。


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